レザークラフトの手縫い始めたばかりの人は、革包丁を使って革漉きするのを難しく感じる人もいるでしょう。
今回は革包丁を使って斜め漉き・平漉き・中漉きする方法をご紹介します。
革漉きの目的
「漉き(すき)」とは、革の床面を削いで薄くすることを言います。
- 単純に革を薄くしたい
- 貼り合わせた時の厚みを抑える
- 革を曲げやすくする
- コバをヘリ返す
- 革の重なりのあたりがでないように
革漉きでよく使うのは、革の重なりの厚みを抑えたり、あたりが出ないようにすることです。以下の例を見てください。
Dカンを付ける革のパーツで斜め漉きしたものとしていないものを用意しました。
Dカンを通して貼り合わせました。
Dカンを付けた革パーツを挟み込んだ場合、漉いたほうは厚みが抑えられています。
漉きをしない場合、挟んだ革のほうにDカンの革パーツのあたりが出てしまっています(写真右)。
このように漉きをするだけでレザークラフトのクオリティがかなり変わってきます。
漉きは苦手意識がある人も多いですが、何回もやってれば上手になるので、果敢に挑戦してみてください。
革漉きの種類
革漉きの種類は「斜め漉き」「平漉き(段漉き)」「中漉き」「ベタ漉き」の4種類あります。
【斜め漉き】
斜め漉きはヘリに向かって傾斜をつけて薄くなっていく漉き方です。
主に革の貼り合わせ部分をスマートにしたり、革が重なった部分に段差が出ないようにするときに行います。(先述のDカンの例参照)
また、内縫い(袋縫い)をするときの縫いしろにすることもあります。
【平漉き(段漉き)】
平漉きは立体的な作品を作る時に、革を直角に縫い合わせたいときなどに行います。
平漉きをすると定規とヘラを使って曲げやすくなります。
写真のように折りぐせが付きやすくなります。
それから「ヘリ返し」と呼ばれるコバを折り返して仕上げる方法をするときにも平漉きをする必要があります。
ヘリ返しはコバを見せたくないときに使う技法です。
【中漉き】
名刺入れや財布など、フラップや折りたたむ機能をもたせた作品を作る時に、曲げ部分を漉くことで折り曲げやすくします。
【ベタ漉き(全漉き)】
ベタ漉きは革全体を一定の厚みに漉くことです。
切り出したパーツ全体を薄くすることもベタ漉きだし、半裁の革(一枚革)の購入時に全体を漉くこともベタ漉きです。
ベタ漉きをすると床面が綺麗になることもメリットのひとつとしてあります。
切り出したパーツのベタ漉きは革包丁でもできますが、一定の厚みに均一に漉くのは技術が必要です。
ベタ漉きは漉き機がないと難しいですね。
作品に最適な厚みの革を最初から使うというのが賢いです。パーツごとに厚みを変えたい場合は、同じ革でも厚みの違うものを購入するなど工夫が必要です。
革包丁で革を漉く方法
革漉きで必要な道具は「革包丁」「ガラス板」です。
革包丁は切れ味が落ちていると全然漉けないので、あらかじめ研ぐなどして、刃の切れ味をつけておきましょう。
硬い平面であるガラス板の上で漉くことで、刃が入りやすく滑らかに刃を動かせます。ガラス板は床面処理の時にも使うので、ぜひ揃えておいてください。
革包丁で斜め漉きのやり方 [動画あり]
斜め漉きしたい範囲に目打ちでラインを引いておきます(写真ではヘリから10mm)。
入れたラインに革包丁の刃を入れて、ヘリに向かって斜めになるように切っていきます。
矢印は刃を動かす方向です。
革包丁の刃は押しても切れません。刃を左右にスライドするように切るのがコツです。
刃が斜めに入ったら、その位置をキープしながら革の向きを変えて、切り進めていきます(矢印の方向ではない)。
刃を押しても切れないので、矢印の方向に刃をスライドさせながら切り進みます。矢印は刃を動かす方向で、切り進む方向ではありません。
一発で斜めに漉くことができれば断面も綺麗です。
厚い部分がまだある場合は、調整していきます。
最後にヘリについたバリを取ります。刃を軽く当てて、軽い力でそぎ落としていきます。
写真ではわかりにくいので、以下の動画も参考にしてください。
革包丁で平漉き(段漉き)のやり方 [動画あり]
斜め漉きと同じように目打ちで平漉きする範囲にガイドラインを引きます。(写真では10mmにしています)
まずは斜め漉きをします。
斜め漉きができたら、段にしたいガイドラインの部分に刃を立てるようにして入れます。
そのままヘリに向かって刃を進めながら、刃を寝かせていきます。
平漉きする面を平らにならしていきます。
最後にバリを取ります。
平漉きも写真ではわかりにくいので、動画も参考にしてください。
ヘリ返しをする場合はさらに薄くする
ヘリ返しをする場合は平漉きの厚みを0.5mm程度まで薄くする必要があります。
この薄さは革包丁では結構大変で、集中していないとちぎれてしまいます。
薄くできれば、ヘリ返したときの革の厚みが変わらないので、作品が美しく仕上がります。
ゴムのりでヘリ返し部分を接着して、ヘラなどで圧着します。
ヘリ返しの平漉きは革包丁でやるのは難しいです。漉き機があれば一瞬でできることもあり、その大変さはあまり伝わらないんですよねw
革包丁で中漉きのやり方
中漉きしたい部分の中心と端に目打ちでガイドラインを引きます。写真では中心から10mmずつ、20mmの範囲で中漉きします。
一方のガイドラインから中心のガイドラインに向かって中漉きします。
革を回転させて、反対側の端からガイドラインの中心に向かって斜め漉きすると中漉きになります。
最後に微調整して中漉きの完了です。ヤスリで整えてもいいでしょう。
ベタ漉きは革購入時にしてもらおう
ベタ漉きは小さいパーツであれば革包丁でもできなくもないですが、均一の厚みに漉くのは難しいです。
なので、パーツごとに厚みが違う場合は、最初からパーツに合わせた厚みの革を使ったほうが楽です。
半裁の1枚革を購入する場合は、作る作品に合わせて指定の厚みにベタ漉きをしてもらっておくと便利です。
また、お店によっては半裁の革を切り分けて、厚みの違うカット革にしてくれるところもあります。
通販で小さいカットレザーを購入する場合でも、厚みを選べることが多いので、作る作品にあわせた厚みに合わせて購入するのがいいでしょう。
ハギレは厚みがバラバラなので使いにくいです。
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