レザークラフトの「けがき」は革に型紙を写すこと
「けがき」というのは聞きなれない言葉ですが、レザークラフトでは型紙の形を革に写すことを言います。
けがきは簡単に言えば、革の銀面の上に型紙を置いて、型紙の輪郭に沿って目打ちや丸ギリで傷(線)を付けることです。
しかし、けがきの工程では「型紙を置く方向」も大事になってきます。同じ革でも伸びやすい方向や丈夫な部分など特性が違うので、その辺を考えられるようになると、仕上がりのクオリティが上がります。
- 型紙(厚紙で作ったもの)
- 目打ち or 丸ギリ
- 銀ペン(柔らかいクロム鞣しの革などの場合)
- ペーパーウエイト(あれば)
けがく前に革の繊維方向を見極める
型紙って適当に並べてけがくのはダメなの?
革には伸びやすい方向や曲がりやすい方向があるんだ。
その方向に合わせて型紙を置いてけがくと、仕上がりのクオリティも一段階アップするよ。
牛革はもともと動物の皮なので、化学繊維のように均一で安定した性質ではなく、部位や方向によって性質が異なります。
詳しくは以下の記事に書いています。
レザークラフトを始めたばかりだと、カットされた革を購入することが多いですよね。
カットされた革は牛革のどの部分をどの方向でカットしたのかがわかりません。
そういう場合は、まず革を曲げてみましょう。
革を曲げた時に何の抵抗もなく曲がる場合は、その方向に革が伸びやすいということになります。
革を曲げた時に抵抗があり曲げにくい場合は、その方向には革は伸びにくいということになります。
例えば鞄の持ち手など、負荷がかかるパーツは「伸びにくい方向」に負荷がかかるようにパーツを切り出すほうがいいことになります。
ただ、革小物の場合は大きな負荷がかかることはないので、そこまで気にしなくてもいいですよ。
二つ折りにするカード入れとか財布の場合は、二つ折りしやすい方向にパーツを取ると使いやすいです。
たまに曲げただけでは方向がわかりにくい革もあるので、そのときは実際に革を伸ばしてみて判断します。
ただし、あまり強い力で引っ張ると、革が伸びたまま戻らなくなるので注意が必要です。
革のパーツを切り出す位置を決める
革の曲がる方向がわかったら、それを考慮に入れて、最適な向きに型紙を革の銀面の上に並べてみましょう。
その時、革に無駄が出ないように隙間を詰めてならべるのもポイントです。
ただし、初心者の頃は隙間を5ミリ以上あけないと裁断しにくいので、あまり詰めすぎないようにしてください。
また、革に元々傷や焼き印、血管の跡などがある部分は、意図的に見せる場合以外は、避けて使うか、隠れる部分に使用するようにするといいでしょう。
型紙に沿って革をけがく
型紙に沿ってけがくときには、型紙がずれないようにペーパーウエイトなど重しを置いて作業するとやりやすいです。
目打ちは立ててしまうと傷が深く付いてしまうので、けがく方向に寝かせて使います。
また、けがくラインより内側や外側に倒してしまうと、型紙より革のパーツが大きくなったり小さくなったりするので注意してください。
初心者の頃は一気にけがこうとせず、けがく場所に指を置きながら、正確に丁寧にけがくことを心がけましょう。
けがき線が付きにくい革は銀ペンを使う
革の鞣し方や染め方などによって、けがき線が付きにくかったり、見えにくかったりする場合があります。
また、ピッグスエード(豚革)や床革など、目打ちではけがきできない起毛状の表面には銀ペンが最適です。
また、クロム鞣しの革では、けがき線が太くなってしまうものもあります。
そういう場合も銀ペンを使ってけがいていきます。
銀ペンは革に線を引くときに使うペンで、簡単に消せるので便利です。パーツを合わせる時には床面に印をつける時などにも使用します。
線が太い銀ペンを使っている場合は、線の内側を切ると型紙と同じサイズになります。線が細い場合は、線の上を切ればOKです。