名刺入れの作り方でマチの構造を覚えよう
名刺入れやカードケースは革で作ると高級感もあっていい感じになりますよね。
名刺入れは相手の名刺と自分の名刺を入れるポケットがあり、ある程度の枚数を入れる必要があります。
クレジットカードやキャッシュカードも意外に厚みがあるので、たくさん入れたいのであればマチが必要になります。
今回はカードケースとしても使えて、仕切りもついている名刺入れを作ってみます。
【名刺入れ・カードケース材料】
作品名 | 仕切り付き名刺入れ(カードケース) |
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完成寸法 | 横107mm×縦70mm×厚24mm |
革 | 約5ds ・オイルヌメ#01 ワインレッド|協伸オンラインショップ |
革以外の材料 | ・ロウ引きラミー糸 細 全10色 20/3番手 ・ハンシャセット 小 ニッケル φ10mm バネホック |
名刺入れ・カードケースの作り方と手順
今回の型紙では、記事中は上のようにパーツに名称をつけています。
名刺入れのポイントは「マチ」部分ですね。
それ以外のパーツは四角形なので、比較的図案を自分で書くのも難しくありませんが、マチは頭の中で想像しても形がイメージしにくいので、ペーパークラフトなどで実際に作ってみると形がわかってきますよ。
型紙を描くのが苦手という人は、形状をイメージできないということがあります。 そんな時に頭の中でずーっと考えてい …
名刺入れのパーツを裁断する
革の上に型紙を置いてけがいて裁断します。
レザークラフトの「けがき」は革に型紙を写すこと 「けがき」というのは聞きなれない言葉ですが、レザークラフトでは …
「フタ裏」のパーツは貼り合わせてから本裁ちするので、3辺を粗裁ちしておきます。
「本体」の床面には、「仕切り」や「フタ裏」の取り付け位置に印をつけておきます。
印をつける時には、出来上がり時に見えない部分に少しずらしてつけるのがポイントです。
「マチ」パーツは厚みがあると曲げにくいので、1mm程度に漉いておくほうが作りやすいです。
革包丁などでうまく漉けない場合は、粗目のヤスリでゴリゴリ削ってもいいでしょう。
名刺入れの床面処理とコバ塗り
パーツが全部揃ったら、床面をトコノールで処理します。
上のように組立て後をイメージして、縫い合わせた後にコバを仕上げられない部分(写真の赤線部)は、あらかじめコバ仕上げしておきます。
今回はコバに染料を塗って仕上げていきます。
レザークラフトでのコバの仕上げや磨きは最終的な作品のクオリティに影響します。コバ仕上げ剤や染料、ヘリ返しなどの仕上げ方があります。タンニン鞣しの革は磨くほど繊維がまとまって硬くなり、ツヤが出て丈夫になっていきます。
名刺入れの仕切りを作る
「仕切り」部分は「マチ」のパーツをはさみこむようにして縫い付けます。
「仕切り」を挟み込む中心部分を、「マチ」の床面に印をつけておきます。
「仕切り」のゴムのりをつける部分を、ナイフやヤスリで荒らしておきます。
床面もトコノールをしていると接着しにくいので、床面も荒らしておきます。そのあとゴムのりをつけます。
「マチ」部分の中心も荒らしてからゴムのりをつけます。「仕切り」の厚みも考えて8ミリくらいの幅で塗りました。
「仕切り」と「マチ」を接着して圧着します。クセをつけておかないと剥がれてくるので、しっかり圧着しましょう。
縫う部分にガイドラインを引きますが、「マチ」の革の厚み1ミリと縫いしろ3ミリで、4ミリの幅で引きます。
ガイドラインに沿って縫い穴をあけて縫い合わせていきます。
「仕切り」の上下は糸をかがって2重にしておくと頑丈になります。
縫い終わりは内側で結び目を作ると外から目立たないようにできます。
仕切りが完成するとこんな感じになります。
名刺入れのバネホックをつける
縫い合わせてからはバネホックをつけにくいので、先にバネホックをつけておきます。
「フタ裏」の型紙を合わせて、バネホックをつける部分に印をつけます。まだ粗裁ち状態なので、貼り合わせる端(赤丸部)にも印を入れておきましょう。
印をつけたところに穴をあけて、バネホックの凹金具をつけます。
今回は表にバネホックの金具が見えないように、ハンシャという隠しバネホックを使いました。
同じように「本体」のバネホック取付位置に印をつけて、バネホックの凸金具を取り付けます。
「フタ裏」を「本体」に接着するので、ゴムのりをつける部分をナイフやヤスリで荒らします。
そのあと両方にゴムのりをつけて、乾いたら接着します。取付位置の印に合わせて接着します。
「フタ裏」のはみ出た部分を綺麗にカットします。
名刺入れの仕切りと本体を縫い合わせる
今回は仕切りが立体的なので、仕切りを付けてから菱目打ちで穴をあけにくいです。
なので、「本体」だけに縫い穴をあけておいて、縫うときに同時に貫通させる方法で縫い合わせます。
「本体」パーツの縫い始めや段差のある部分に、基点(菱目打ちを打ちたい場所)を印しておきます。
縫う部分にネジ捻などでガイドラインを引いて、基点に合わせてピッチを調整しながら菱目打ちで縫い穴をあけます。
先に正面となる部分に仕切りパーツを接着します。「本体」と「マチ」にゴムのりをつけて貼り合わせます。
上のイラストのように貼り付けてください。(写真取り忘れました・・・)
「マチ」部分には縫い穴があいていないので、「本体」パーツの縫い穴から菱ギリを刺し、穴を貫通させながら、縫い合わせていきます。
縫い合わせたら、マチの反対側もガイドラインを引いて、ゴムのりをつける部分を荒らして接着します。
革の反発ではがれやすいので、クリップなどで挟んでおくといいですよ。クリップにはハギレの革を間に挟んで、革が傷つかないようにしましょう。
また同じように菱ギリで穴を貫通させながら縫い合わせていきます。
ちなみに、菱ギリで穴を貫通させながら縫う方法のほかに、「マチ」に先に菱目打ちで穴をあけておいて、接着時に「本体」の穴と合わせる方法もあります。
仕切りがつきました。
フラップ部分の角を落とします。
名刺入れの最後のコバ仕上げ
最後にコバをヤスリで整えて、コバを仕上げていきます。
綿棒などで塗ってもいいですが、「コバ塗り職人」っていう塗りやすい道具もおすすめです。
>>コバ塗り職人セット 細&太 真鍮無垢 細3mm、太6mm
名刺入れ・カードケースの完成!