「高価だけど高級感のあるレザー(本革)のほうがいいか」
「見た目も変わらないし安価な合皮でいいか」
ファッションアイテムを購入するときには、本革にするか、合皮にするか、素材で悩むこともありますよね。
今回は合成皮革と本革(レザー)の違いや、どういう場合にどっちを選ぶのがいいのかということを考えていきます。
本革と合成皮革の特徴
レザーアイテムというのは、動物の「皮(原皮)」を鞣してできた材料「革」で作られたものです。
一方、合成皮革というのは、見た目をレザーに似せて化学繊維などで作られたものです。「レザー風」とか「レザー調」とか「フェイクレザー」などとファッションアイテムの商品には書かれていたりします。
人工的に作られた皮革にも2種類あって「合成皮革」と「人工皮革」があります。
本革(レザー)の特徴
本革は天然皮革とも言われ、動物の「皮」を鞣して革製品の材料である「革」にしたものです。
主に牛の皮を鞣した牛革を使ったものが多いですが、豚の革(ピッグレザー)やオートクチュール(ダチョウ革)、そのほか羊や山羊の革もあれば、ワニや蛇などの爬虫類の革も天然皮革です。
一番の特徴は耐久性に優れているということですね。財布などは多くの人が本革のものを持っていると思いますが、何年も使い続けているという人もいるでしょう。
そして、独特の高級感を感じるのも本革の魅力です。ただ、高級感というのは主観であって、もともと革の材料費が高いから高級感を感じているとも言えます。魚で言えば、アジを庶民的に感じて、フグを高級と感じるのと同じですね。
あとは人間の皮膚もスキンケアが大事なように、本革もお手入れが必要になってきます。革靴などは保湿クリームで磨くとキレイに見違えるのを見たことがあるでしょう。
合成皮革の特徴
合成皮革はナイロンやポリエステルの化学繊維の生地に、ポリウレタンなどの樹脂をコーティングして作られたものです。
特徴は何と言っても価格が安いということです。普通の布のように取り扱いやすいので大量生産も可能です。
見た目はツルツルとしたもので、本革に似せるためにわざとシワをつけたり、シュリンク模様をつけたりしています。
ただ、布地にコーティングしているだけなので、摩耗に弱く、よく擦れる部分はコーティングが剥げてきます。
さらに、何もしなくても経年で劣化していき、使用していなくても2、3年ほどでボロボロになっていきます。
人工皮革の特徴
人工皮革はもっと本革に似せるために、構造そのものを天然皮革に似せて人工的に作ったものです。
本革の構造は銀面と床面の2層構造になっています。本革の表と裏は、銀面と床面の2層になっていて、床面は網状の繊維層になっています。
人工皮革は繊維層をナイロンやポリエステルを複雑に絡めて作り、その上にポリウレタン樹脂の層を作っています。
さらにシュリンク模様や色合いなどを施すことで、限りなく本革に近い風合いに仕上げています。
こちらは構造が本革に似ていますので、耐久性はある程度あり、質感もソフトです。通気性もあるので、衣料品などにも使用されています。
価格的には合成皮革よりは手間がかかるので高くなりますが、本革に比べるとやっぱり安いということですね。
人工皮革のポリウレタンは水で劣化してしまうので、湿気をそのままにしておくと劣化が早まります。また、高温でも樹脂が溶けていくので、高温の場所や直射日光が当たるところに放置してはいけません。
こちらも合成皮革と同じように使用しなくても2、3年ほどで劣化してしまいます。
特徴まとめ
本革 | 合成皮革 | 人工皮革 | |
---|---|---|---|
価格 | 高い | 超安い | 安い |
耐久性 | 強い | 超弱い | 弱い |
重量 | 重い | 超軽い | 軽い |
寿命 | 5年~10年 | 2~3年 | 2~3年 |
見た目 | 高級 | 安っぽい | ものによっては高級 |
※これ以降の本文では合成皮革と人工皮革を「合皮」と一括りで表現します。
本革と合皮の見分け方
普段の生活で本革と合皮を見分けたいという人は少ないと思いますが、一応見分ける方法をいくつか紹介します。
タグを確認する
一番確実で早いのは商品のタグを見るってことです。
洋服なら裏側にタグが付いていますし、靴やバッグなどであれば、値札と一緒にタグが付いているでしょう。
本革であればそれが商品の「ウリ」になるわけですから、大きく書いていることが多いです。
合皮であれば、「合成皮革」と書いています。ネットショップで購入するときにも素材の部分はよく確認したほうがいいですね。
商品名に「レザー調」「レザー風」というややこしい表現をしている場合があるから騙されないようにしましょう。
匂いを嗅ぐ
本革には独特の匂いがあります。これは皮を鞣すときに使用する薬剤などの匂いが少しずつ揮発しているからです。
合皮は無臭です。匂いがあるときもありますが、それはゴムのような嫌なニオイがすると思います。(ゴムの匂いが好きな人もいるかもしれませんが)
私は結構レザーの匂いは好きなので、よく嗅いでいますが、匂いは時間が経つほど薄れていきますし、鞣し方によっては匂いが少ないものもあるので確実ではありません。
毛穴や傷、模様を見る
本革は動物の皮なので、当然毛穴の跡などがあります。また、場所によっては血管の筋が出ていたり、「ほくろ」がある場合もあります。
ただ、それは割とツルツルの革でないとわかりにくいです。
シュリンクされていたり、模様を型押しされているような革では判別しにくい場合もあります。
折り曲げてみる
合皮というのはあくまで布地にコーティングをしているだけなので、折り曲げると不自然なシワができます。コーティングが浮いているような感じですね。
ただ、人工皮革のように本革と構造が近い合皮は、自然なシワができるので、精巧につくられた合皮は見分けることはできないでしょう。
キズがつくかどうか
本革というのは、爪で軽くこすっても傷というか跡がついてしまいます。(お店の商品でやらないでくださいね)
その傷はすぐには消えないのですが、しばらくすると馴染んでわかりにくくなります。
それが本革の魅力の一つでもあるのですが、合皮はポリウレタン樹脂なので軽く擦ったくらいでは傷はつきません。
保湿クリームを塗る
本革は使っていくうちに擦れた跡などがでてきます。
しかし、それは革専用の保湿クリームなどを塗ることで、本来の革の輝きを取り戻します。こういったお手入れをすることで何年も長持ちするというわけです。
合皮は当たり前ですが、自然のものではないのでクリームを塗ってもベトベトになるだけで復活はしません。
結局、本革と合皮のどちらを選べばいい?
本革と合皮の製品は見た目は似ていても、耐久性や使い心地、何と言ってもお値段が全然違います。
本革と合皮があった場合どちらを選ぶべきか悩んだ時の考え方を書くので参考にしてみてください。
その前に本革と合皮のメリットとデメリットをまとめておきます。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
本革 | ・耐久性が高い ・高級感がある ・経年変化が味わえる |
・面積が大きいほど高価 ・上質の革はさらに高価 ・重い ・お手入れが面倒 ・洗濯できない ・雨に弱い |
合皮 | ・安価 ・雨を弾く ・お手入れ不要 ・軽い |
・寿命が短い ・耐久性が低い ・安っぽい見た目になることもある |
これらを踏まえて考えると、判断しやすいと思います。
小物は本革一択
財布やパスケース、名刺入れ、キーケースなどは本革を選ぶほうが良いでしょう。
まず第一に材料となる革の面積が大きくないので、合皮と本革の材料費の価格差がそこまで大きく開きません。
さらに、財布などは小さい割に縫ったり折ったりする箇所が多く、耐久性に優れない合皮は縫い目や̚カドから劣化していきやすいので、合皮製だと劣化が早まります。
また、財布などの小物は使用頻度が高いことも合皮の劣化が早まる原因となります。
もちろんブランドものの革小物は高額になってしまいますが、ノーブランドの本革であれば革の質は多少違いはあるものの、革の特徴である耐久性などはそれほど変わりません。
1年以上使うかどうか
ファッションにはトレンドがあります。例えば最近だとウエストポーチが流行っていますが、その流行は一過性のもので1年後には無くなっているかもしれません。
そういったアイテムの場合、高価で耐久性の高い本革のものを買っても1年後には着用しないことがあります。
お金があって本物にこだわるという人はそれでもいいと思いますが、おしゃれに敏感な人であれば新しいトレンドが来たら違う商品を欲しくなると思うので、合皮製のものを選んでもいいと思います。
使用頻度が高いかどうか
使用頻度が高いかどうかで本革か合皮かを選ぶという方法もあります。
例えばビジネスバッグは、ほぼ毎日使用するものですから、耐久性の低い合皮製のものより、値段が高くても本革製を購入したほうが長く使用できると考えられます。
逆に結婚式等で使用するクラッチバッグなどは、普段ほとんど使わないので安価な合皮でも良いという考え方もできます。(ただ見た目で合皮とバレないもののほうがいいですが)
高価なものを買っても使わなければ宝の持ち腐れになってしまいますから、使用頻度で決めるのも一つの方法でしょう。
靴は考え方によって決める
靴は本革のほうが良さそうに思えるかもしれませんが、意外に合皮を選ぶ考え方もあります。
例えば靴にこだわりがなく、営業職ですぐに履きつぶしてしまうという人は、本革の靴をしょっちゅう手入れするよりも、合皮の安価な靴を買い替えるほうが経済的にも時間的にもコスパがいいと考えられます。
また、靴に使用されている合皮は割と性能が良く、雨にも強く、やわらかくて足にフィットしやすいことも多いです。
逆にオシャレは足元からという靴にこだわる人はやはり本革が良いと思うでしょう。
靴底がすり減れば修理に出し、くすんできたらオイルやクリームでお手入れをすれば5年~10年は履き続けられるでしょう。
ただし、一つの靴を毎日履くのは革に良くないので、3足をローテーションするのが望ましいですから、やっぱりお金はかかりますね。
本革でも安い靴はあるので、手入れをしないでそこそこの高級感のある靴が良いという人は、安い本革の靴を定期的に買い替えるという方法もあります。
革のジャケットは合皮でもいい
革ジャンや革のジャケットは使う革の面積もかなり大きいので、本革製品の中でも特に高価です。
バイク乗りでもない限りは、おしゃれの一環として革のジャケットを着用すると思うので、合皮でもいいでしょう。
特に最近の合皮のジャケットは、見た目的に本革と見分けがつかないものが出てきているので、そういった精巧なものを選べば素人が見ても本革と合皮の区別はつきません。
最近ではユニクロで合皮のレザージャケットが6,000円程度で販売されていますが、ユニクロに行った際にはぜひ実物を確認してください。本革か合皮か見分けがつかないクオリティになっていますよ。
>>ユニクロ|ネオレザージャケット|WOMEN(レディース)
あともう一つ理由としては、首回りなど直接肌につくものなので、汗が付いたりします。本革に水分は大敵なので、そのあたりがデリケートでお手入れが大変なのです。
さらに洗濯も気軽にできませんし、クリーニング代も高くつきます。よほど経済的にゆとりがあるか、本物のバイカーでもない限りは合皮で十分だと思います。
まとめ
本革にするか合皮にするかというのは、最終的には自分の考えと、お財布との相談になると思います。
本革にしても合皮にしても、それぞれ良くできた合皮もあれば、低品質の本革というものもありますから、結局は自分が納得したものを購入するのが一番です。
ただ、本革と合皮のそれぞれの特性を知っておけば、より良い選択ができると思いますので参考にしてみてください。