レザークラフトに限らず、手芸や陶芸のような作品作りというものは、初めて作った作品は感慨深いもの。
当たり前ですが、だれでも最初は初心者なので、到底上手とは言えないものになることが多いでしょう。
私もレザークラフトを今回初めて挑戦しました。そして完成したのがキーケースです。
(追記)↓キーケース3作品目は詳しい解説あります。
キーケースの無料型紙を使ってレザークラフトをしてみよう。二つ折りのキーケースはカードポケットも付いて使いやすくなっています。作りやすい形状で作り方の手順も公開していますので、レザークラフト初心者の人はハンドメイドで作ってみてください。
作品名 | キーケース |
---|---|
使用革 | タンニン鞣し革(端革使用) |
硬さ | 柔らかめ |
サイズ | 幅48x高さ100x奥行20(mm) |
製作時間 | 約9時間 |
何を作るかを選ぶ
初めてレザークラフトをするにあたって、まず最初に何を作るのが良いのかということを考えました。
師匠である妻が、一通りのレザークラフトで使う工具を所有しているので、ある程度は何でも作ろうと思えば作れますが、今回は初めてということなので、以下のポイントに沿って決めました。
- 基礎的な工程が一通り学べる
- タンニン鞣しの端革(A4サイズ)内で作れるもの
- 工業ミシンで縫えるもの(形状的に)
- 普段使えそうなもの
このあたりのことを考えると、キーケースがピッタリだという結論になりました。
レザー小物で比較的直線的なフォルムで、難しい工程がないけど、一通りのことは学べそうですからね。
初めての型紙作り
上の写真は今回作ったキーケースの型紙です。型紙というのは、簡単に言えば「設計図」です。
材料である革をパーツごとに切断するときに、型紙を当てて切り出しますが、型紙はそれだけではなく、パーツを組み合わせる時の目印や、金具を取り付ける位置などを記します。
私は布や革を含め「手芸」そのものが初めてだったので、型紙の役割の重要さに驚きました。
また、型紙は精密さが求められるので、直角や並行の線をいかに正確に書くかも大切です。
そのやり方も教えてもらいましたが、その詳細については別記事にて後日書きます。
今回は初めてだったということもあり、作っていくうちに寸法の修正などを余儀なくされ、型紙通りに作れませんでした。
早く作業したいと型紙をおろそかにすると痛い目に遭うという教訓が身に付きました。
寸法だけでなく、各パーツの組み立て位置や金具の位置など、詳細を型紙に落とし込むほど完成度が上がる
初めての革の裁断
布の裁断は小学生の家庭科の授業でしかしたことないですが、布の場合は端を織り込んで縫うので割とアバウトに裁断しても問題ないことが多いです。
しかし、革の場合は裁断したパーツの寸法が合わないと、端がずれてしまうという致命傷を負ってしまうのでキッチリ裁断する必要があります。
裁断には通常革包丁を使用すると書籍などには書いていますが、初心者はカッターナイフでいいとのことです。
直線は金属製の定規を当てて切れば簡単なのですが、角丸とか曲線はフリーハンドで切る場合が多いので難しそうですね。
また、革を切る感触は、紙や布を切るのとはまた違って、少しふかふかしたような独特の感触があります。
猟師が仕留めた獲物を解体するときの感触ってこんな感じなのかな~なんて想像してしまいました。
寸法キッチリに裁断しないと、組み立てる時に端がずれる。初心者はカッターナイフで良い。
初めての革漉き
革漉き(かわすき)というのは、革の厚みを削って薄くすることです。
革は動物の皮ですから、動物の種類や固体の大きさなどによって皮の厚みが違います。
布とは違い厚みが結構あるので、革が重なる部分などはパーツを薄く漉いてかさばらないようにするというわけです。
今回のキーケースで言えば、表側はやや厚めの革で、裏面(内側)は薄く漉いています。あとは、特に皮が重なる部分は端を斜め漉きしています。
革漉きには漉き機という機械を使うのですが、漉き機は結構値段が高いので、ちょっとした趣味程度で購入するのは躊躇します。
革の端だけ漉く場合は、革包丁で彫刻刀の要領で漉くのが一般的ですが、なんか難しそうですね。
趣味でレザー小物を作る場合には、端革やカット革を使うことが多いと思いますが、厚みを考えて選ぶと漉く手間が少なくなっていいと思いました。
初めてのゴムのり
ゴムのりは革のパーツとパーツを貼り合わせる接着剤の役割をします。
縫う前にパーツを貼り合わせないと、縫うときに革がずれてしまったりします。
ゴムのりを初めて使って驚いたのは、ゴムのりは貼り付ける面同士、両方につけないといけないということと、ある程度乾いてから貼り合わせるというところです。
普通のノリや接着剤なら片方につけてればくっつきますし、乾く前に貼るのが普通ですからね。
しかもゴムのりは圧着しなければ、くっつけてからも剥がせるというから便利です。
初めての芯材
芯材というのは、革のパーツとパーツの間に挟み込むもので、革の硬さを補強するものです。
例えば名刺入れがふにゃふにゃの柔らかい革でできていたら、カバンの中で名刺入れそのものがくしゃくしゃになって、中の名刺もくしゃくしゃになります。
そういうことを防ぐために、硬い板状の芯材を入れることで、型崩れを防ぐというわけです。
キーケースは柔らかいものもありますが、ある程度硬さのあるものを作りたかったのと、使用する革が若干柔らかかったので芯材を入れました。
作ったキーケースの場合は曲がる部分以外に芯材が入っています。下の写真の白い部分に入っています。
初めての縫製
ミシンは小学生以来なのですが、革は家庭用のミシンで縫うのはちょっと厳しいようです。
家庭用ミシンで縫う場合は、革の種類や柔らかさ、作る物などをミシンに合わせて考えないといけないので自由度が低くなります。
私は師匠の工業用ミシンがあるので、それを使って革を縫うことができました。
初めてだったので、スピードを一番遅くして、ゆっくり縫いました。
縫製の最後の処理(布で言う玉結び)をどうするのかわからなかったのですが、糸を火であぶって玉を作り、それで留めます。
レザークラフトの書籍で多いのは「手縫い」ですが、やはり革が縫えるミシンを購入するというのはかなり敷居が高いので手縫いが多いのかと思います。
手縫いとミシン縫いの違いは、手縫いのほうが耐久性に優れているのと、ミシンで縫えないような立体的な縫製が可能という点です。
ただ、ミシン縫いの耐久性が弱いのかといえばそうではなく、師匠曰く、ミシン縫いでほつれたことはないとのこと。
例えば安物の服でさえ、何度も洗濯を繰り返しても糸が切れないのと同じで、特段手縫いが強いと感じる場面はないということです。
初心者の感想としては、縫う以外の工程は手縫いもミシンも同じなので、ミシンが無い人は手縫いでいいし、ミシンがある人はミシンでいいと思います。
ミシンで縫うのは超楽ちんです。ミシンがある時点で手縫いの選択はしないかな?
初めてのコバ処理
コバというのは革を切断した時の断面のことです。
コバ処理は、切りっぱなしのコバをキレイに磨いて、さらに色を塗ってツルツルにすることです。
簡単に言うとコーティングを施すような感じですね。
安物のレザーアイテムの場合はコバを処理しないでそのままにしているものが多いです。
安いレザー商品がコバ処理をしない気持ちもわかります。
コバ処理って手間がかかるんですよね。
コバを磨く → コーティング剤を塗る → 乾かす という工程を3回も4回も繰り返します。
ただ、このコバ処理をすることで、初めてのキーケースでも見た目が格段に良くなります。
コバ処理があるとないとでは、商品価値が雲泥の差といっても過言ではないレベルです。
コバ処理は面倒だけど、手間をかけるほどクオリティは格段に上がる
初めての金具取付
キーケースに使用されている金具は、カギをはめるキーケース金具と、キーケースを閉じるためのバネホックです。
たいていの金具は革に穴を開けて、上下の金具パーツを木づちやハンドプレスで合体させるというものです。
金具にも真鍮やニッケル、金メッキ、アンティーク調などいろんな色があって面白いですね。
金具をつけるための「打具」というのもサイズによって様々で、レザークラフトの道具というのもたくさんそろえるとコストがそれなりにかかっちゃうみたいです。
金具って特殊な機械が無いと付けられないイメージでしたが、木づちでアナログ的にできるのも新鮮でした。
初めてのレザークラフトを終えて
写真で見ると初めて作った割にはそれなりの見栄えの良いものができたと思います。
しかし、よく見るとキーケースの曲げる部分の余白が短すぎて、キーを入れる空間が小さくなってしまっています。
それから革のパーツを取るときに繊維の方向を考えなかったために、革を漉いたときにゆがんでしまった箇所があります。
- 型紙の時点で緻密な設計図として完成させなければならない
- 革は繊維の方向や、部位によって性質が異なるので、革の選定も慎重に行うべし
- 作るものに合わせて革の厚みや硬さを考えて選ぶほうがいい
- パーツは大きめにとって、パーツ同士を貼り合わせてからカットしたほうが断面がキレイ
- コバ処理は手間だが惜しまずやるとクオリティが高まる
すべての工程を経験することで、今後間違えやすい点、気を付けるポイントなどが明確にわかったので、次回の作品作りに生かせればと思います。
さすがに今回のキーケースは売り物にするにはお粗末なので売りませんが、次に作るものはキレイにできたらハンドメイドアプリで販売してみようと思います。