菱目打ちの使い方とコツ

菱目打ちで縫う前に糸を通す穴をあける

型紙をつくって、革を裁断し、ガイドラインを引いたら縫うのですが、その前に菱目で糸を通す穴をあけます。

革は分厚くて硬いので鋭利な針でも穴が無いと貫通しにくいですから、手縫いの場合はあらかじめ穴をあけておくことになります(ミシンの場合は穴をあけなくて良い)。

レザークラフトの手縫いの工程は大きく3つの工程があります。

レザークラフトの手縫い工程
  1. 縫う場所にガイドラインを引く
  2. ガイドラインに沿って菱目で縫い穴を開ける
  3. 手縫い用の針と糸で縫い合わせる

この記事ではガイドラインに沿って菱目打ちで縫い穴をあける方法をご紹介します。

菱目打ちの種類とピッチの違い

菱目打ち

菱目打ちは革に縫い穴をあける道具です。穴の形が菱型になります。

刃の本数によって、「1本目打ち」「2本目打ち」「4本目打ち」などと呼びます。最大で10本目打ちくらいまであります。

刃の数が多いと穴をあけるために強い力が必要になるので扱いが難しく、早く穴をあけれますが、必ずしも楽になるとは限りません

なおなお

レザークラフトを始めたばかりの時は、1本目打ちと2本目打ちと4本目打ちがあれば十分ですよ。

菱目打ちのピッチ

菱目打ちは幅の違う種類が用意されています。

ピッチの幅が3ミリ、4ミリ、5ミリが一般的です。ピッチが狭いほど縫う回数は多くなります。

3ミリピッチと4ミリピッチ

ピッチの違いによって、穴の大きさ(刃の大きさ)も異なります。

幅が広いピッチには太い糸を使うことが多いので、ピッチが大きくなると穴も大きくなります。

なおなお

ちなみに菱目打ちのパッケージには「ピッチ幅表示」のものと「刃の幅表示」のものがあるので、よく確認してから購入しましょう。

菱目打ちを使うための道具

木づちとゴム板と目打ち

菱目打ちは単体では使うことはできません。

木づちなどで叩くことで、革に刃を差し込んで穴をあけます。木づち以外でもラウンドモールやプラスチックハンマーを使う人もいます。

刃が貫通した時に、刃や机を傷つけないように、革の下には分厚いゴム板を敷きます。

また、木づちなどは叩く音が大きいので、マンションなど集合住宅に住んでいる人は、ハンドプレスのような菱目打ち機というものを使う人もいます。

菱目打ちの打ち方と使い方のポイント

菱目打ちの基点

菱目打ちで穴をあける前に、「ここに糸を通したい!」というところに目打ちで印(基点)をつけておきます。

「ここに糸を通したい!」場所とは、縫い始めや縫い終わり、段差、角などです。

その印に穴をあけられるように縫い穴のピッチを調整しながら、穴をあけていきます。

菱目打ちの裏表

また、穴をどちらの面からあけるかも大事です。菱目打ちを打った側の穴は綺麗な菱形になりますが、裏は少し穴があく程度です。

作品をパッと見て、縫い目が見られやすい面を「表(外側)」とし、「表」側から穴をあけるのが一般的です。

例えば二つ折りの財布なら、外側が「表」で、開いた中側(内側)が「裏」という感じです。

どっちが「表」か「裏」かを考えながら穴をあけるようにしましょう。

菱目打ちの前に考えたいこと
  • 縫い始めと縫い終わり
  • 段差はまたぐように穴をあける
  • 角を綺麗に縫えるように縫い穴の位置を決める
  • 表と裏(外と内)を決める。菱目打ちを打つときは表(外)から

菱目打ちを打つ姿勢

菱目打ちは垂直に立てて、木づちをまっすぐ振り下ろして、刃が斜めにならないようにしましょう。

刃が斜めに入ると、裏側の穴の位置がずれることになります。

前の穴にかける

菱目打ちはピッチを一定にするために、最後にあけた穴に1本刃をかけて打ちます。

菱目打ちのカーブの打ち方

曲線は2本目打ちで丁寧にガイドライン上に穴が来るように、菱目打ちを回転させながら、スムーズなカーブになるように打っていきます。

菱目打ちのピッチの調整

ピッチが合わない

ピッチの調整とは、菱目打ちを打っていく中で、最後の基点(穴をあけたい印をつけた場所)に、綺麗な間隔で穴をあけれるように、穴の幅を調整することです。

まず、基点に近づいたら穴をあけるのを止め、とりあえずあたりを付けてみます。

あたりが基点と合えば、そのままのペースで穴をあけていけばOKです。

ピッチを修正したあたり

基点に合わない場合は、あたりの幅をほんの少し広げて(時には詰めて)付けていきます。

ほんの少し間隔を広げるだけなので、仕上がり時に違和感を感じることはありません。

奥に穴がある

終点に近い本来のピッチのあたりが、終点をやや過ぎたところにある場合は、菱目の間隔を詰めるとピッチを調整しやすいです。

手前に穴がある

終点に近い本来のピッチのあたりが、終点の手前に近いところにある場合は、菱目の間隔を広げるとプッチ調整しやすいです。

1本目打ち

あたりを取ったら1本目打ちであたりの上に穴をあけていけばピッチが合います。

ピッチ修正した穴

なおなお

上記はひとつの方法であって、綺麗な間隔で穴があくならどんな方法でもいいですよ。

菱目打ちで角の穴あけ

角を菱目打ちで縫い穴をあける時にはいくつかの方法があります。やり方は人それぞれの好みなので、いろいろ試して気に入った方法を見つけてください。

パターン1.角は丸ギリで小さい穴にする

丸ギリで角の穴あけ

角は穴が目立ちやすいので、菱目打ちの穴より小さくなる丸ギリで穴をあける方法です。

角が丸ギリの穴

事前に角に印を打つときに丸ギリで穴をあけておき、ピッチだけを合わせて、穴は菱目であけないようにします。

 

パターン2.一方の方向に合わせて角を1度打つ

一方向ごとに菱目打ちを反転

一方の直線の方向でのみ角に菱目を打って、90度角度を変えてもう一方の辺に行く方法です。

 

パターン3.方向転換時も重ねて打つ

菱目打ちの重ね打ち

角まで菱目を打ったら、菱目打ちを方向転換して、前の縫い穴に重ねてもう一度打つ方法です。

角の穴が大きくなるので、糸の太さによっては穴が目立つことがあります。

段差がある時の菱目打ち

革の段差はまたいで菱目打ち

段の菱目打ち

段差がある時には、あらかじめ段差のすぐ下に目打ちなどで基点(印)をつけておきます。

段差をまたぐようにするのがポイントですが、下のイラストのように上の段のヘリから距離が長くなるようにします(ヘリに近いと革が切れる恐れがある)。

そして、菱目打ちで穴をあけ進み、段差に近づいたら、基点に向かってピッチを合わせましょう。

段差で菱目が打ちにくい

あて革を差し込む

また、段差があると菱目打ちの位置がずれることもあるので、段差のある部分は「あて革」をして、できるだけフラットになるように調整してから菱目打ちを打つと綺麗に打てます。

なおなお

縫い穴の綺麗さは、作品の仕上がりを左右するので、丁寧にきっちり開けていきましょう!